参加者:
中島ノブユキ(プロデューサー、編曲、演奏)
奥田泰次(レコーディングエンジニア)
狩野真(調律師)
清宮陵一(コーディネーター)
吉澤藤佳(フクモリ)
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<East St.Louis Toodle-Oo 〜田村玄一さん〜> 2011年2月21日PM〜夜半過ぎ。
中島(以下中):そして最後は玄さんワールド!
一同:(笑)
中:この曲は途中からリズムが早くなると思うんだけど、それはこの日の朝にひらめいて。で、玄さんに当日伝えたの。
吉澤(以下吉):そうだったんですね。この曲はけっこう(時間)かかりましたよね。玄さん、楽器沢山持って来ていただいて。
奥田(以下奥):4つ?アコースティックギター、スティールギター、スティールパン、ウクレレ。
狩野(以下狩):この時はホンキートンクで弾いてるんですよね。あれって何でホンキートンクがいいって判断したんですか?
中:それはやはり作曲者(デューク・エリントン)に、敬意を表して。ちょっと古いスタイルの音色感というか。
狩:なるほど。この一曲前のレコーディング曲がプリペアードだったから、ミュートを取るだけでホンキートンクだったので、やり易かったですね。ただ、ホンキートンクもただ狂ったピアノになっちゃダメなので(笑)。1930~40年代のアメリカのピアノの木が乾燥して調子の狂った自然な味わいの音色と、今回のピアノみたいにドイツの一流のピアノを狂わせたって、やっぱり全く同じにはなれない。だから弾く曲、人、に合わせてどこまで持って行けるか、でしたね。
中:録音し終えてから実は、もっと狂ってても良かったかなと思ったんですよね。それは後から曲を並べて聴いた時に、そう思った。結構ナチュラルなホンキートンクなので、もっとぐちゃってしててもよかったかも、って。あの時、スタジオで聴いてたらかなり狂ってると思ったんですけどね。楽器が重なると音色が溶けちゃいますね。
奥:また、玄さんのギターが(笑)
中:そうそう(笑)あのメロディをとっているギターの音色。あれなんか凄い録り方してたよね?
奥:マイクに紙をあててました。あれは玄さんが「こうすれば面白いんじゃなぁい?」って言ったので、そうしてみました。
吉:それってどうゆう効果が生まれるんですか?
奥:紙によって響きを抑えたんです。あたかも小さな部屋で録ってるかのように。
中:メガホンを逆にしてマイクに付けたような感じですよね。
奥:そうそう、メガホンを逆にして耳にあてると外の音が小さく聞こえるように。
中:色々ありましたねー、この時間帯は。
吉:夜も深まってきて。
奥:玄さんタイムっていう印象がありますよ僕は。もーコントロールルームには目もやらずに「じゃこれやりまーす」って次々と始まって(笑)。
中:そうそう、もーこの頃清宮さんはキリキリキリキリ…(笑)
清宮さん。スタジオやアーティストの調整など本当に色々やっていただき、多謝!
清宮:はい…。もうこの時僕は、あまり演奏のことを気にしていられない感じで…。どうやって小宮山さん(スタジオの人)と仲良くなってディスカウントしてもらおうかってことしか考えてなかった(笑)
一同:(笑)
中:で、田村(玄一)さん凄いのは悩まないんだよね。普通は悩んで、これどーかなー?あれどーかなー?って言って時間が過ぎてっちゃうんだけど、田村さんの場合は悩まずにどんどん音を重ねていって、それが全部効果的になっていくんだよね。
奥:演奏してる姿もすごくグルーヴィーでしたね。絵になる、というか。
中:僕ね、なんか印象派の音楽の重ね方、ラヴェルとかの楽器の重ね方に…とちょっと田村さん近づいているなと思った。例えばピアノで弾いてる内声の動きにうっすらスティールパンを重ねたりとか。ひとつの楽器がひとつの旋律じゃなくて、複数の楽器によってひとつの旋律を歌わせて、それがだんだん重なってくるとじんわり音がにじんできて、それが独特のサウンドカラーになっていく。例えば最初のイントロの、ピアノで弾いてるフレーズのところなんかは、そこにうっすらヴェールのようなさざ波のようなトレモロでスティールパンの音が重なった時に、不思議なサウンドが生まれてる。それはなんか印象派的な音の積み重ねという感じがしましたね。
狩:そうね、なんかサティっぽいような。ひとつの音に後から和声がくっついてきて、あー、この音はこの和声の中のこの音だったんだー、みたいな。
中:そうそう。
奥:音数少ない中で重ねてくダビングってグルーヴ感を維持するのは難しいと思うんだけど、今回はすごいなと思いましたね。
中:普通(音同士を)相殺しちゃったりするもんね。
奥:微妙に遅れたりしてるんだけど、直せない感じがあった(笑)。僕は玄さんと中島さんのコラボは一番意外というか、面白いなと思いましたね。
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