アルバム“pianona”座談会 vol.10 <曲順、ミックス、マスタリング>


参加者:


中島ノブユキ(プロデューサー、編曲、演奏)


奥田泰次(レコーディングエンジニア)


狩野真(調律師)


清宮陵一(コーディネーター)


吉澤藤佳(フクモリ)


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<曲順>


中島(以下中):清宮さんの質問を受けて)なぜあの曲か…は、わからない(笑)。でも曲順は、冒頭でも最後でもないなと思ってたんで、そうすると真ん中だし。曲順はどうだっただろう、悩んだほうかな?


奥田(以下奥):中島さん、パッと決めてあとは微調整って感じでしたよね。


中:あとは藤佳さんの鶴の一声がありましたからね(笑)。元々は、今のCDに入ってる曲順でいうと…11曲目と1曲目が逆だったんだよね。


奥:でも、それじゃ暗い!って言って(笑)


吉澤(以下吉):いや、暗いというか、、私が感じるpianonaのイメージ、楽しくて美しくて大好きなあの空間の雰囲気が、1曲目(fragment Ⅰ)に感じてて、まずそれを最初に聴いてもらいたい!視聴機とかでも最初に耳に入ってくる音色って重要だし、と思ったんです。


奥:曲目の曲の聞こえ方がまた全く変わりましたよね。


中:これはでも大正解でしたね。


吉:(ホッ)よかったです。


奥:最後にダルマの目を入れるような作業(笑)小さいけど大きな効果。


中:そうそうそう。


 



 


<ミックス>


奥:あんま(話題が)広がらないと思うんですよね今回のは…


中:(笑)なんで?


奥:なぜかというとそんなに、、ミックスしてないとは言わないけど、レコーディングのバランスを生かした感じだし。


中:録ってラフミックスの段階から皆興奮してた感じだったもんね。


奥:ミックスって整理だから、レコードのボコッと出たところを削ったりする作業があるんだけど、それをやりすぎちゃうと魅力が無くなったりしちゃう。そーゆう意味でのミックスはしてないですよね。


中:つまり、“録られた音”がミックスを加えなくてもそのサウンドに充実感があったというか。奥田くんがマジックをかけてくれてたんですね。


奥:今回は終始リラックスしたやわらかい気持ちで取組めました。ミックス作業の後は皆花見行ってましたしね(笑)。中島さんとの事前のメールのやり取りもそんなに長文じゃなかったし。


中:(笑)


吉:そんな長文のやり取りするんですか?


奥:以前はそうでした(笑)。でも今回は違いましたよ。


 



 


<マスタリング>


奥:マスタリング面白かったですね。


吉:キムケンさん。


清宮(以下清):奥田さんが、キムケンさんのマスタリングスタジオでやりたい、と言った時には、わ、この人天才だって思いましたね。僕は、全体がとろっとふわっとしたアルバムだと思ってたんで、アナログ的な落とし込みが上手い人にお願いするのがフツウだと思ってたんですよ。でもキムケンさんて最近はテクノとか、よりデジタル的解像度をどれだけ上げるか、っていう人だから、全然想像してなかったんですけど…奥田さんがそのひと言を言った時に、あースゴいかも!って。もしハマったら、より、その良さの解像度が上がるって思いました。


奥:なんかいいカンジがしたんですよね。


中:大正解でしたね。


奥:敢えてDSDっていう高解像度のフォーマットは今回はあまりハマらないなと思ったし、もっと身近なものっていうか。だからDSDでマスターも録ってないし使おうとも思ってなかった。


吉:フクモリのほんわかしたイメージとはかけ離れたイメージのスタジオでしたからね、地下の秘密組織の基地みたいで、ビックリしました。


奥:日本じゃないみたいだし(笑)。人がまたいい味出してるし。それこそ過度なEQじゃないんだけど音楽的にぐっとくる要素は残してくれる。


清:いい締まりですよね。締めすぎると「とろふわ」の良さが無くなってしまうけどそうじゃないし。


中:人はすごく音の良さを言ってくれますね。ピアノの音色感とかね。あれは奥田くんの秘密兵器です、って言っときました(笑)


 


 


〜最後に〜



吉:中島さんは、ピアニストであり作曲家であり編曲もするしプロデュースもできるし。私はこの“pianona”をとおして、その色んな側面を持つ中島さんが見れたこと、取組んでいただいたこと、がとてもうれしく思います。


奥:震災を挟んで作られたアルバムだから、物欲等も全てリセットされたりして、その過程はすごく印象的なものでしたね。


中:マスタリングしている時も余震におののきながらやってましたもんね。


奥:で、ミックスは震災後だった。


狩野(以下狩):でも震災とは全く関係なく進んだプログラムだったから、そこはまたよかったですよね。


吉:期せずして色んなことがあって、その中で作られたアルバム。


狩:それで、より内容が深く感じられるところもあるし。


中:震災後にレコーディングしてたら選曲とか全く違ってましたね。多分この“What a Wonderful World”とか選んでないもん。逆に。


奥:2011年という感じが出てますね。さて、第二弾は…(笑)


吉:早くも第二弾!それが実現することをまた祈りつつ…今後とも月例の“pianona”、どうぞ宜しくお願いいたします。


 


その他のお話はこちら↓から!


vol.1・・Kylie 〜カントゥス篇〜

●vol.2・・Thinking of You 〜石井マサユキさん、森俊二さん篇〜

vol.3・・Oblivion〜北村聡さん篇〜

vol.4・・エンジニア・調律篇

vol.5・・What a Wonderful World〜武田カオリさん、高田漣さん、鈴木正人さん、塩谷博之さん篇〜

vol.6・・Simon`s Dream 〜権藤知彦さん、田中佑司さん篇〜

vol.7・・East St.Louis Toodle-Oo 〜田村玄一さん篇〜

vol.8・・Pocket 〜持田香織さん篇〜

vol.9・・fragments Ⅰ-Ⅴ 〜中島ノブユキさん篇〜

vol.10・・曲順、ミックス、マスタリング篇〜



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