参加者:
中島ノブユキ(プロデューサー、編曲、演奏)
奥田泰次(レコーディングエンジニア)
狩野真(調律師)
清宮陵一(コーディネーター)
吉澤藤佳(フクモリ)
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<Oblivion 〜北村聡さん〜> 2011年2月20日PM
奥田(以下奥:)で、一息ついてお馴染みの北村さんでしたね。
中島(以下中:)お馴染みのね、こう、暖簾をくぐって来るような感じでね(笑)。
吉澤(以下吉:)この時、北村さんと中島さんが向かい合ってすごい考え込んでいる姿を見て…今まで何度も共演しているおふたりなだけに、一体なにを悩んでいるんだろう?って思ってました。
中:え、そうだった?食事のメニュー考えてたんじゃない?時間的に。トンカツにしようかうな重にしようか…(笑)。
吉:違いますよ…。
中:あ、あれかな。あの曲はバンドネオンから始まってるけど、それはあの場で出した案なんです。フクモリで演奏した時には最初ピアノのベースラインの音から始まっていて、そこにバンドネオンの旋律が出て来るっていう流れだったんだけど、なんか面白くないねって言って…最初に北村くんのバンドネオンが聴こえる編曲にしたんだよね。
吉:へー、あの場で。
中:というのもアルバムの中にはピアノソロもいくつか入るから、いつもピアノの音が最初に聴こえるんじゃなくて、共演する人が出だしで見えたら良いんじゃないかと。で、その音楽の流れをどうしようかというのでふたりで悩んでいたんだね。
清宮(以下清:)僕は、中島さんが北村さんとの(音の)距離感を、くっつきすぎず、むしろキリッとそれぞれ違う方向を向いているようなイメージにしよう、って言っていたのが印象的でした。濃厚になっていくこともできたんだけど、敢えてそうじゃない方向にしようというところを出したほうが良いんじゃないかっていう。
中:あー、それはメランコリアの時に作ってくれた奥田くんの距離感みたいなものがあって、僕の好み、例えば変に濃厚になり過ぎないようにしようとするところとか、そういうのを理解してくれていて、その辺のバランスは語らずとも察してくれながら進んでいるような気はしましたね。
清:中島さんのイメージ的な言葉を、奥田さんが咀嚼して答え(音)を出していく、っていうやり取りは見てて面白かったですね。
中:北村くんとは濃厚になろうと思えばいくらでもなれたんだけどね。例えば最後のところは同じコード進行で繰り返しながら進んで、本当はもっとずるずるっと長くなるような予感が演奏中はしてたんだけど、意外とスッと終わったのね。でも、CDが発売されて、この間北村くんに会った時、彼は「あの最後はもう少し色々できたんじゃないかなと思う」というようなことを言っていた。それは言うなれば映画での役者、演者の思いみたいなもので、もっとあそこは演じられたのに!っていう風に思ったのかもしれない。でもそれは敢えて濃さが出ないうちに終わったところが、もしかしたら逆にこの曲への“良い香り”みたいになったんじゃないかな。
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