参加者:
中島ノブユキ(プロデューサー、編曲、演奏)
奥田泰次(レコーディングエンジニア)
狩野真(調律師)
清宮陵一(コーディネーター)
吉澤藤佳(フクモリ)
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<fragments Ⅰ-Ⅴ(ピアノソロ インプロヴィゼーション)〜中島ノブユキさん〜>
吉澤(以下吉):ソロはレコーディング初日(2月21日)の最後に録りましたが、あっという間でしたよね。私あの短時間で一発でバババッと弾いて録っていたのがすごいなと…。
清宮(以下清):早かったですよね。
吉:あの数曲は何となく予め考えてたものなんですか?
中島(以下中):いや、あんまり考えてないんだよね。共演者との曲とサンドイッチ状に入るっていうのは想定してたけど、その程度。微妙なバランスだと思うんだけど、多分最初に構築していて「この曲はこの曲との間に」とか考えて弾き始めてたら多分うまく行かなかったと思う。まずは音を出してみて、それによって膨らむイメージからというか。
狩野(以下狩):アルバムの構成的にいくつかのピアノソロが入っていて場面が切り替わるけど、あれは一楽章、二楽章みたいなものはあるの?
中:意図してはいないんだけど、結果的にはプレリュードと本編、みたいな感じになった気はするんですよね。どのピアノソロとどの曲がセットになってるとかは特別考えた訳ではないんだけれど、曲との間にソロを挟んだこともあって。
狩:なんかある種ソロで少しリラックスさせて次の曲に持っていく、みたいな効果が見られるようにも思えて、いいなーって思いました。
中:多少、「展覧会の絵」みたいに、導入部があって次の部屋に入っていく…というイメージは録音の時に少しアタマの中にあったかもしれないですね。
吉:で、ソロを録った後にスピネッタ(Kyrieの)を録って、割とスムーズに終わったんでしたっけ?
奥田(以下奥):そうですね、一応録るものは録って…23時半には終わってました?
清:0時は少しまわってましたね。初日のエクストラ料金をどうねじ込められるか…とか考えてましたから(笑)
清:で、フクモリのピアノでの録音は震災を挟んで…確かpianona(3月23日)の翌日の朝に録りましたね。
狩:そうそう、確か僕は(pianona当日)長野から帰りがけにフクモリ寄って、調律してった。あの日(3月23日)は人が沢山いたね。
中:長野から!
吉:イベント終わってから調律してもらったんでしたね…夜中に。ありがとうございました!
中:で、翌朝8時くらいにフクモリに行ったら…ビックリ、目の前が工事中で(笑)。
吉:立体駐車場解体真っ最中で…私まさか工事はもう少し遅い時間からだと思っていたんですが8時で既に始まってた。
中:で、少し音が無くなるタイミングを待ったりもしてたんですが、なかなか…。
吉:お店は9時半くらいから仕込み始まっちゃうからそれまでしか時間は無いし。で、実質弾いて頂いたのは30分も無いくらいでしたよね?
奥:で、録音は中島さん持参のポータブル録音機で。
中:あれ実は甲斐田くん※のなの。
吉:こんなところでまさかの甲斐田監督!
奥:あれはどの辺に置いて録った音なんですか?
中:ピアノから2mくらい離れたテーブルの上に置いて録りました。ま、そこのセッティングは清宮さんですけどね。
狩:あれも楽譜無いんでしょ?ちょっとオリエントっぽいような雰囲気だよね。
中:アラブっぽいような(笑)
狩:あの音色のピアノに合いますよね。
清:20分くらい続けて色んな音色で弾いてましたよね。で、絶対それは選ばないだろうな、っていうのを選びましたね(笑)。前夜があのpianonaのライブで、皆が音楽に飢えてるような状況下で「やっとライブが聴けた!」みたいな雰囲気があったイベントだったから、僕はまだすごくその余韻を引きずっていて、そんな中島さんを期待していた部分があった。でも、もちろんそんな雰囲気の曲も弾いてたんだけど、そこじゃないのを選びましたね。
中:そうですね、もっと平和な雰囲気の曲も弾いてたけどね。
吉:けど、がんがんアラブのほうへ…(笑)でもあれがまたアルバム全体の中で、あの位置にあっていいですよね。
狩:あのピアノはエゾマツって言って、北海道の松の木の響板なんです。日本の木ってああいうオリエンタル的な音にすごく合ってる。ボケなくて。割とペダルをぐっと踏んでても滲まないんです。
中:あれは確かにペダル踏みっぱなしです。
狩:あれをもしスタンウェイで弾いたら、何弾いてるか分かんなくなっちゃうんです。あのピアノだから出来る音色です。
中:まさにフクモリでしか出せない。
清:なぜあの曲にしたんですか?あと、あの場所(曲の順番)に?
※甲斐田祐輔…映画監督。中島さんの“メランコリア”のレコーディングを追ったドキュメンタリー作品『みじかい夜』も。
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